経営を考察する戦略

経営について考えています

経営にPDCAは役立つか?無意味なのでは?

最近の経営は「バズる」といったスピード感や勢いが重要であり、分析を繰り返しながらビジネスを進めていくのはナンセンスとも受け取れる風潮があります。

しかし、このようにバズることを目的にビジネスの手法を展開している人たちほど、PDCAというサイクルを丁寧に回していることに気づきます。

一見すると何ら脈略なく展開しているような行動や取り組みも、すべては狙いや意図があってのこと(もちろん、すべてのマーケターがそうだとは言いませんが)。

PDCAなど古いという考え方もありますし、確かにPDCAという言葉はいくらか古めかしい気がします。とはいえ、実際にやっていることはPDCAそのものなのです。古典的な経営用語に当てはめるのが古臭いっていうイメージがあるだけで、成功している起業家はPDCAを大事にしているものです。

偶然にバズっているように見えるものでも、裏側で計算されている部分があることは知っておくと良いのではないでしょうか。

世の中結構単純に見えて、複雑だったりしますし、その逆も起こり得ます。

経営は単純、一方で奥が深いという二面性があることがまた面白いのです。

成功よりも失敗に価値があるとは?

経営において成功体験は本当に重要なものであるけれど、むしろ失敗した経験の方が役立つこともあります。

そもそも成功している時はそれほど分析を行わず、とりあえずうまくいっているのでそのまま続けようというような思考になりがち。結果的に、成功した事実だけが自社に蓄積され、十分な分析がされないままでそれにしがみつくことがあります。あれで成功したから同じように…というやり方では、本質を捉えてないため、同じように成功するとは限りません。

一方で失敗した経験はそれをしっかりと分析することによって「原因」を突き止めることがやりやすい。そうすると、これをやると失敗するかもと言う経験が蓄積され、確度の高い取り組みを行うことができるようになる。

たまたまパチンコで上手くいった方法をいろいろな台に試してもすぐにお金は尽きますが、上手く行かなった経験を基に台を真剣に選んで少しずつ試しながら失敗を回避していくことで小さな成功を引き出すことができるというイメージです。

経営において成功体験は重要ですが、経営の学びはそれほど単純なものではないということです。

経験を知識に変換・転換するためには、「分析する」というプロセスがとても重要であり、それをやらなければ経営的な進歩は望めない。

これが昔から言うところのPDCAサイクルの重要性を説いているように思えます。

経営の成功体験はホントに厄介だ!

どんな経営者でも、事業を継続している以上は何らかの成功体験を持っているもの。

それをベースにさまざまなことを考え、展開しているのが事業であって、成功体験はその企業の根底にある中核ともいえる。しかしながら、成功体験は常に同じように通用するとは限らないのが厄介なところでもあります。

早くからYouTubeで動画プロモーションを行ったところは、取り組みが流行の前であったことから成果を出すことができず、結果的に「YouTubeは意味がない」と捉えてしまっている可能性があります。でも、今ならば十分に活用できるツールと言えるでしょう。

あるいは、昔からチラシを配布して集客してきた企業は、今の時代になっても莫大な費用を投資して新聞折込チラシを行っています。新聞の購読数は驚異的なスピードで減少しており、それだけが理由と言うわけではありませんが、折込チラシの反応率は相対的に低下していることが指摘されています。

このように、過去の取り組みを自社の経験として保有し、ノウハウへと転換することはとても重要なのですが、昔のデータが今もそのまま通用するということでもありません。

これで足元をすくわれて、旧態依然とした経営から抜け出せず、何も変化を得られないということが起こり得るのです。

経験は重要だけれどそれがすべてではないというのが経営の面白さでも難しさでもあります。

経営を肌で感じるのが経営学

経営学は学問ですが、実際に経営に活かそうとするならば五感を使って学び、活かすことが本当に大切でしょう。

自社と取り巻く環境は刻々と変化しています。

そして、環境の中心にいるのはお客様であり、お客様をどう分析し、どう対応するのかを考え、実行するのが経営学であるとするならば、肌で感じることの重要性は本当に大きなものだと言えるでしょう。

経営について真剣に考えるならば、自らが肌で経営を感じるということが本当に大切だということです。

理屈だけでもダメだし、かといって実践だけでもダメ。理屈と実践を上手くリンクさせながら捉えていくのが大切、それが生きた経営と言われる所以です。

ホントに奥が深い。これだから経営に正解はなく、ある意味ですべてが正解と言われるのかもしれません。

正解を求めるのではなく、現実に耳を傾けながら行動することを大事にしていきたいと思う。

理解に要する時間は結構必要かも

経営学を学んで、それを実践に活かすためにはかなりの時間が必要でしょう。

具体的にどのくらいというのは言えないものの、勉強した内容を自分で咀嚼してそれを実践へと橋渡しし、現実とリンクさせながら活かすとなれば一定の時間は必要です。

無理にこれをスキップしようと思うことなく、ゆっくりと寝かせることも時に必要でしょう。

その方が結果的に早く行きつけることがあります。

急がば回れではありませんが、焦り過ぎない程度に意識だけは少し先を向きつつ、経営を捉えていくことが大事でしょう。

 

理論を実務に橋渡しする

結局、経営は生きているということです。ゆえに、ある程度体系化されている経営学は古いものもあって、すべてを当てはめることなど無意味ということです。

でも、古典的な経営学はやはり現実のベースを整理するのによくできていて、そこに実務的な要素をいかにしてリンクさせられるかというのが大事だということでしょう。

こんなことは誰でもわかっていることです。

でも、やはり経営学をしっかりと、そして、ある程度屋深くまで探求しておかないと、表面だけの気付きにしかなりません。しっかりと自分で考える力まで持っていくいくためにも、理由理屈の世界を十分に理解しておくことは大切です。

MBAスクールなどでは、ケーススタディという学習方法が採用されています。これも、理論を理解したうえで行わないと、単なる事例研究で終わってしまう。研究をさらに昇華させるかたちで現実とリンクさせるためには、理解が前提にあって、実践を融合することが重要になってきます。

時に経営学をまなんでいるとなにか無意味というか、現実とはかけ離れていることを学ぶことがありますが、それとて非常に重要な学びになるということです。

柔軟な発想で経営を捉える

経営を学問レベルで学ぶことは有用だと思います。

しかし、それにつられてしまって、何でも理屈で当てはめようとするとなかなかうまくいかないのではないかと思うようになりました。

例えば、フレームワークSWOT分析や3C、戦略マップなど)を学ぶとそこに当てはめて使いたくなるのですが、すべてを矛盾なくそこに当てはめられるかと言えばそんなに単純ではありません。

経営は基本はありつつもほとんどが例外であって、例外の積み重ねが現実であるともいえます。ですから、あまり理論に縛られると現実が見えなくなって、社内では浮いちゃうことは間違いありません。

経営学を使いこなす

結局、そんなに世のなか単純ではないということです。

経営学なんてまさにそうでしょう。どの会社でも成功できる法則があれば、それをやれば良いだけですが、世の中には倒産する会社がたくさんあるわけで、単に経営学を学んだからといって経営に成功できるほど甘い世の中ではありません。

では、経営学を学ぶことは無駄か?と問われればそれもNoです。

学んだ経営の知識を実務に落とし込んで、あるいは結び付けながら活かすということがポイントだということです。

分かってはいてもこれが一番難しいかもしれません。